投てき型消火器とはなにか?

賃貸の契約をする際、見積書に何気なく記入されている【消火用具購入費用】これっていったい何なの?というところから説明します。
店舗等の商業施設とは違い、賃貸のアパートやマンションの室内には消火設備が設置されていることはほとんどありません。
そのため火災が発生した際の初期消火として使うために購入を勧められるのがこの【投てき型消火器】です。
名前の通り投げ込むだけで誰でも簡単に消火できるという、うたい文句で販売されていました。
「いました」と、過去形になっているのには理由があります。
私も商品を紹介している者として衝撃を受けました。
【見積りについて知りたい方はこちら】
【衝撃】景品表示法違反があった!
2022/05/25に消費者庁のホームページにて景品表示に違反があったとして公開されたのは
(株式会社栄徳 ファーストショット)
(株式会社エビス総研 小さな消防士)
(株式会社ファイテック 火にポン)
(株式会社ボネックス SAT119、)
(株式会社メディプラン 消える魔球(ボール型))
以上5つの販売事業者です。
今回の指摘は優良誤認に該当したものです。

実際より優れた性能や品質があると誤解を与えてしまうということです。
すべての販売事業者が共通で該当していたのは、たった一本の消火用具で「ある程度の火が消せる」かのような表示があったとのこと。この「ある程度の火」というのは各社表示が異なり、
栄徳の場合は8㎥、エビス総研は4畳半から6畳程度、ファイテックとボネックスは天井に炎の高さが届くまでの火災、メディプランは炎の高さが大人の身長程度の火災、と様々でしたがいずれも著しく優良な商品だと誤認させる表示だと判断されました。

えっ
ちょっと待てよ
一本じゃ火が消せないのか?

全く効果がないわけではないですが
表記されていたレベルの火災には有効性を証明できませんでした。
さらにエビス総研の商品には消防庁認定という表示されていましたがこれも実際には認定をされた事実がありませんでした。
消火器としての性能・効果はある?
では、実際に火災が発生した場合、投てき型消火用具で消火できるのでしょうか?
消費者庁のホームページに東京消防庁公式チャンネルの検証動画がリンクされていましたので私も見てみました。(念のためお伝えしておくと「この動画は個別製品の性能を評価するものではありません」と注意書きがしてありました)
ただ検証動画を確認した結論から申し上げると火災が発生した緊急の現場で投てき型消火用具で消火できるイメージは私にはできませんでした。
そこには、今回指摘されたそもそもの消火性能以外にも2つの問題点がありました。
【問題点その1】当たらなければ意味がない。
検証では45㎝角の火元を作成しそこから出火したという状況で行われていました。
投てき型というだけあって、そもそも「火元に当たらないと消火できない」という問題があります。
動画では2mほど離れた距離から成人男性12人が投てきしていますが、まともにヒットしたのはわずか4人。
火災という緊迫した状況下ではさらに確率が下がると考えられます。
【問題点その2】容器がしっかり割れないと効果が弱まる。
投てき型消火用具は透明なボトルの中に消火剤となる液体が入っています。
そのため消火するためにはボトルが割れ、中の液体がしっかりと火元にかかることが必要です。
しかし投げた先がカーペットだったり、ソファーだったり、女性や子供で投げる力が弱かったりするとボトルがしっかり割れず、消火することができないのです。
検証動画では叩きつけ投入という特殊な方法を使ってやっと消火に成功していましたが、それほど力強く投げ、且つ【問題点その1】に記した通りコントロールも必要なのです。
投てき型消火用具は必要?筆者の見解。設置は義務ではないし、おすすめではない。
以上の理由から私としては投てき型消火用具はあまりお勧めではないと考えます。
購入するにしても一本ではなく複数本用意しておかないと消火器としての役目は果たせないのではないでしょうか?
当然費用がかさみますし、火元にしっかり投げられるのか、ちゃんとボトルが割れるのか不安が残ります。
複数本購入される場合は不動産業者で買うと高くなりますのでご自分でインターネットから購入しましょう。
また今回の検証動画で実用性が高いとまとめられていたのは「自動消火装置」です。
炎に接近する必要もなく、操作も不要で消火能力も高いので大変おすすめです。
費用は高額ですが投てき型を何個も購入するよりは良いのではないでしょうか。

モリタ宮田工業 住宅用自動消火装置 スペースシュッパー HP3F
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